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Posted by 滋賀咲くブログ at

2007年12月23日

第4回 広汎性発達障害(PDD)について

 「広汎性発達障害」(略称PDD)とは、自閉症とよく似た社会性の障害を中心とする発達障害のことをいいます。これに含まれる病気として自閉症やアスペルガー障害などがあります。特にIQが70以上の知的障害のない子どもを高機能広汎性発達障害と呼ぶことが一般的で、この高機能広汎性発達障害の中には高機能自閉症、アスペルガー障害とその他の高機能広汎性発達障害があります。

 自閉症とアスペルガー障害の違いは、(1)社会性、(2)コミュニケーション、(3)こだわり・想像力のうち、3つとも障害が見られる場合に自閉症、(2)コミュニケーションの障害がないものをアスペルガー障害といいます。この2つの障害を分ける必要性については専門家の間で議論がなされていますが、根底にある問題は両者に共通ですからあえて対応を変える必要性はないと思います。最新の調査では全人口の1%くらいが広汎性発達障害で、その約半数が高機能であると推定されています。
 広汎性発達障害の症状やその対応については、次回以降でお話します。 (2003/8/1 びぃめ~るvol.33 小児科医 宇野正章)

  


Posted by Becafe at 22:43Comments(0)宇野先生のコラム

2007年12月23日

第3回 注意欠陥多動性障害(AD/HD)児への対応について

 AD/HDの対応は、大きく分けて家庭・教育・医療の3つがあります。ただし、対応の主たる場は家庭と教育であり、医療はむしろそれをサポートすることになります。そして、対応の目的は、自己評価を下げないようにすることに主眼が置かれます。そのためには、特に家庭や学校で「ほめる」ことが大切です。同年齢児と比較するのではなく、本人の以前と比較して良くなっているところを見つけてほめること。叱るときは、周囲に迷惑をかけることだけにして、他は多めに見てあげること。これだけでも、ずいぶん落ち着いてくることがあります。小学校低学年までに叱られて育った子は、それ以降、引きこもり、体の不調、暴力的・反抗的といった行動面の異常が顕著になってきます。小学校低学年で見られる落ち着きのなさも4年生くらいになると自然に落ち着いてきますから、あまり神経質になって叱らないようにすることが、小学高校学年から思春期にかけての激動の時期に心の問題を引き起こさないことにつながります。

 最後に、医学的な対応についてですが、リタリンという薬剤が治療の中心になっています。比較的安全に使用でき効果も高いですが、薬剤だけに頼り、家庭や学校での対応を怠ると薬剤の効果はあまり期待できません。したがって治療には、家庭・教育・医療との連携が大変重要になってきますので、学校や教育現場と連携をとってくれる医療機関で診断治療を受けるようにしてください。 (2003/6/1 びぃめ~るvol.32 小児科医 宇野正章)

<参考情報>
NPO法人「えじそんくらぶ」
URL http://www.e-club.jp/

ADHDを正しく理解し、支援の輪を拡げる目的で設立、運営されている。事務局(埼玉 県)を中心に、全国各地に会員による自助グループがある。ホームページでは、活動報告のほか、基礎知識から参考図書、関連学会議事録なども紹介されている。
  


Posted by Becafe at 22:35Comments(0)宇野先生のコラム

2007年12月17日

第2回 AD/HD(注意欠陥/多動性障害)って

  今回はAD/HDについてお話します。AD/HDとは、発達の段階に比して「不注意」「落ち着きがなく衝動性が高い」のどちらか、あるいは両方が見られるお子さんで、これらの症状のために家庭や学校生活で大変な困難を伴う場合に診断されます。こんな症状があっても、楽しく充実した生活が送れ、自己評価に問題が生じていないようなら、あえて診断する必要はありません。原因は、多くが生まれつきのもので、遺伝性が高いことが知られています。したがって、親のしつけとはもちろん関係ありませんし、しつけを開始する前、すなわち赤ちゃんのときからカンが強く、落ち着きがなく、育てにくいといった症状が見られます。

 小学校というのは、生まれて初めてある一定時間じっとしていることを要求されるところで、多動や不注意の子には苦手な場所なのです。小学校に入ってから症状が目立つようになり、初めて問題となるお子さんがいますが、よくよく小さいころの話を聞くとやはり落ち着きのなさは必ず一貫してみられるものです。「いつ・誰が・どこで」見ても症状が存在することが、診断には必要です。もし乳幼児期に落ち着きのなさが見られず、途中から出現してきた場合は、環境要因やほかの病気(うつ病・適応障害などの心や脳の病気など)を疑ってみる必要があります。                             (2003/4/1 びぃめ~るvol.31 小児科医 宇野正章)

  


Posted by Becafe at 22:09Comments(0)宇野先生のコラム

2007年12月17日

第1回 「軽度発達障害」について

 「発達障害」というのは、言葉としては「心身の機能の発達が困難な、あるいはきわめて緩慢な状態」と定義されています。ただ、「発達障害」と一口に言っても、さまざまな障害がありますし、その障害の現れ方も千差万別です。共通しているのは、脳の機能的な問題が先天的に存在し、幼少時から症状が見られることです。親のしつけが悪くて発症する訳ではないのです。

 発達障害の中で、障害の程度が軽く、一見普通と変わらない子どもたちを「軽度発達障害」といいます。その代表的な疾患として、
(1) 不注意で落ち着きのない「注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」
(2) 特定の学習だけがすごく苦手な「学習障害(LD)」
(3) 人との付き合いが苦手でこだわりのつよい「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」を含む、「高機能広汎性発達障害」
が挙げられます。
 
 軽度発達障害の問題は、まさに軽度であることがその問題であるということができます。すなわち、目に見えにくいせいで障害があるのに気付かれないのです。そして単なる親のしつけの問題、性格の問題と取られてしまったりします。また、軽症とは言っても、発達障害者にとっては学校生活に馴染むのは難しく、いじめや周囲の理解不足から度重なる叱責を受け、その結果、自尊心がとても低くなって二次障害(うつ病などの気分障害、ひきこもりなど)にもなりやすくなってしまいます。ですから、このようなことにならないための対策が重要になってきます。すなわち早期発見・早期治療ですね。
 人口の約1割にも上るといわれている脳の発達に軽度の障害がある子どもたちに対して、文部科学省は初めて対応の必要性を認め、調査を開始しさまざまな取り組みを始めました。しかし、ようやくその取り組みは緒についたばかりです。                     (2003/2/1 びぃめ~るvol.30 小児科医 宇野正章)
  


Posted by Becafe at 16:11Comments(0)宇野先生のコラム