2013年02月06日

第51回 発達障害に使用される薬剤について~抗精神病薬~

抗精神病薬とは、主に統合失調症や躁状態に使われるお薬のことを指し、
脳内のドパミンやセロトニンの作用を抑えることで効果を発揮するとされています。
海外では、リスペリドンやアリピプラゾールといった抗精神病薬が、自閉症のパニックやイライラに使用されています。
一方日本では、現在のところ自閉症への使用は認められていませんが、
現在適応申請中で近い将来使用することが可能になる予定です。

感覚過敏が強くパニックや自傷行為の見られる自閉症の子どもさんには、特に有効なことが多いようです。
また、ごく少量の投与でチックにも効果を発揮することが知られています。
副作用としては、眠気や体重増加などがあり、慎重な投与が望まれます。
日本でも成人では、イライラや過敏さを抑えるために過量に投与され、
鎮静作用が強く出過ぎ昼間もボーッとするといった症状が見られることがよく問題になります。

近年、日本でも発達障害児への使用例が増えてきていますが、
代替手段がない場合に限り、少量で短期間の投薬にすべき薬剤であると思われます。
次回は、発達障害によく見られる起立性調節障害についてお話しします。

(2013/2/1びぃめ~る90号 小児神経科医 宇野正章)


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