2011年02月05日
第43回 ~発達障害の診断について~
今回は、ADHDやアスペルガーの診断についてお話しします。
診断は、様々な情報をもとに行います。その中で最も重要な情報のひとつに患者さんの訴えがありますが、発達障害に関しては、患者さんが小児であることから本人が症状を正しく伝えられない、あるいは自分の状況を理解できていないといった理由のため、本人からの情報は診断に用いるには不十分です。
また、保護者からの情報についてはどうでしょうか?保護者も診断の根拠となりうる学校など集団での様子を正確に把握しているわけではありません。また、自分の子どもについて他の定型発達児との差異(発達障害は相対評価と考えられています)について客観的に把握することは難しいことが多いでしょう。このことから、私たち医療者は、診断に用いる患者さんやその保護者からの情報は、発達障害の診断に用いるにはあいまいなものであることを念頭に置く必要があります。
しかし、保護者の訴えだけで診断してしまうと間違った判断を下すことがあり得ます。それだけでなく、学校側がその診断名に納得していない場合には、学校-保護者間の関係が悪化し、子どもの環境がかえって悪化することもあります。
子どもにある特定の病名をつけることではなく、子どもにどんな特性があるかを学校-保護者間で共通理解することからはじめることが大切といえるでしょう。
(2011/2/1びぃめ~る79号 小児神経科医 宇野正章)
診断は、様々な情報をもとに行います。その中で最も重要な情報のひとつに患者さんの訴えがありますが、発達障害に関しては、患者さんが小児であることから本人が症状を正しく伝えられない、あるいは自分の状況を理解できていないといった理由のため、本人からの情報は診断に用いるには不十分です。
また、保護者からの情報についてはどうでしょうか?保護者も診断の根拠となりうる学校など集団での様子を正確に把握しているわけではありません。また、自分の子どもについて他の定型発達児との差異(発達障害は相対評価と考えられています)について客観的に把握することは難しいことが多いでしょう。このことから、私たち医療者は、診断に用いる患者さんやその保護者からの情報は、発達障害の診断に用いるにはあいまいなものであることを念頭に置く必要があります。
しかし、保護者の訴えだけで診断してしまうと間違った判断を下すことがあり得ます。それだけでなく、学校側がその診断名に納得していない場合には、学校-保護者間の関係が悪化し、子どもの環境がかえって悪化することもあります。
子どもにある特定の病名をつけることではなく、子どもにどんな特性があるかを学校-保護者間で共通理解することからはじめることが大切といえるでしょう。
(2011/2/1びぃめ~る79号 小児神経科医 宇野正章)