2010年02月05日

第38回 ~発達障害とうつ病との関連について~

自己評価の低下が続く状態になると、抑うつ気分を伴うようになります。しかし、どうしても問題行動が表に出てしまうため、うつ状態の存在が見逃されやすいこともあるようです。発達障害の中でも、とりわけ、AD/HDをもつ子どもにうつ状態が認められやすいようですが、問題行動ばかり目につき、なぜ起こるかという背景を考慮せずに怒られるといった悪循環が生じ、否定的な自己評価をしてしまいやすいからなのかもしれません。また、AD/HDの経過中に存在しているうつ状態が見逃されている可能性は否定できないそうです。

うつ病の症状は、感情・思考・欲動といった精神面、身体面に対して出現してきます。代表的なものは、次のようなものです。

<精神面>興味が関心がなくなり楽しめなくなる/知的活動などの能力・能率の低下/意欲や気力、集中力がなくなる、不安

<身体面>食欲の増減/睡眠障害/全身のだるさ

もし、AD/HDをもつ子どもがうつ状態を併存している場合、AD/HDに対する薬物療法を行ってしまうと、逆に自己評価の低下を促し症状を悪化してしまうこともあるようです。子どもに対する的確な情報収集や観察をすることで、うつ状態の早期発見が必要です。

次回は反抗挑戦性障害についてお話します。

(2010/2/1びぃめ~る72号 小児神経科医 宇野正章)



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